foot size 番外
「ザックス! 見て見て!」
向こうからクラウドがパタパタと駆けてやって来る。
かわいいなあv 俺の天使ちゃん…ん? んん??
え? あれ? 遠近法狂ってないか。え、ちょ…っ。
「見て! 俺の身長!」
俺は顎を上げて、真上から見下ろしてくるクラウドを見上げて口をぽかんと開けた。
何? で、でかいよクラウド!?
え、俺が縮んだの? いやそんなわけねえって…
「俺ザックスより背が高くなったんだ! ザックスの言うとおりだったよ! 足が大きいと背が伸びるって言ってたよね! 俺すっごく嬉しい。牛乳も毎日飲んでてよかった!」
彼は本当に嬉しそうな顔で笑っている。
彼の喜びは俺の喜びでもある…けれど、でも背が伸びたって…いや、いやいやいや、いきなりそれはないだろ! だ、だって昨日までお前、俺よりちっこかったじゃん、それがいきなりなんでそんな…っ
「なんかこうやってザックスを見下ろすと、ザックスがかわいく見えるよ」
かわいいってなんだ。
つうか、首がイテぇ! お前一体その身長何センチだ!?
軽く2メートルは越えてんだろ、軽く世界記録もんだろそれぇっ!!
「そんなアホなーーーっ!!!!??」
大声で叫んでいた。
叫んだ自分のその声で目が覚めた。
ぱちくり。きよろきょろ。
いつもの見慣れた寝室だ。
ど…どうやら夢だったらしい。
隣に急いで目をやると、件の少年は俺の声で覚醒したのか、眠そうな顔で瞼の上を指で擦っている。
「…なんだよ。うるさいな…」
自分でもおかしいと思ったが、クラウドの上にかかっていた毛布をひん剥いて、思わず彼の全身の長さを確認してしまった。昨日と(多分)1ミリも変わらない(もしかしたら0.5ミリぐらいは伸びてるかも?)彼の身の丈に安心する。
しかし。
「いきなり何するんだよ、寒いザックスっ」
ホッと胸をなでおろしているところを、容赦なくクラウドに蹴られ、俺はベッドの上から転げ落ちた。
俺の夢の内容を当然知らないクラウドからしてみれば、俺の行動は突飛で嫌がらせのようにしか思えなかったらしく、俺は朝からクラウドの怒りを買ったのだった。
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