 |
I Chocobo
初めて彼の部屋に招かれたその日、クラウドは彼の意外な趣味を初めて知ったのだった。
壁にかけられたタペストリー。
ソファの上に転がっているぬいぐるみ。
棚の上にずらりと並べられたフィギュア。
クラウドもよく知っているあの黄色い生き物をモチーフにしたものが、あちこちに置いてあった。
想像していたよりも部屋の中が散らかっていたとか、狭い部屋に住んでいたとかそんなことよりも、クラウドはその黄色が放つ存在感に気を取られた。
クラウドは棚の上に所狭しと並べられたフィギュアを右から順にひとつずつ眺めながら、背後のキッチンでコーヒーを淹れているザックスに、なるべくさり気ない調子で訊ねた。
「…チョコボ…好きなの…?」
かわいらしく丸っこい形にディフォルメされたものから体を覆う毛の質感にまでこだわったリアルなもの、また小さな子供に持たせるような安価に見えるちゃちなものから凄く年代がかった骨董品のようなものまで、大小さまざまなチョコボのフィギュアが置いてある。
二人分のマグカップを手にザックスがリビングルームにやって来た。
「最近ハマったんだけど、色々探してたらいつの間にかこんなに集まっちまってて、自分でもびっくりしてる。置き場所ねえってのに」
差し出されたカップをクラウドは礼を言って受け取る。
クラウドの隣に立ったザックスは、棚の中央の最前列に置いてある姿かたちをリアルに模した中ぐらいの大きさの人形に手を伸ばし、頭部のつんつんと羽が切り立った特徴的な場所を指先で突いた。
「かわいいよな〜チョコボ」
ザックスがチョコボ好きだなんて初めて聞いたクラウドである。
ここよりもっと遠くの地方や田舎の方では、移動手段や労働補助などにチョコボを使用する光景がよく見られるが、エネルギー源として魔晄エネルギーが確立しているここミッドガルのプレート上では、ほとんどその姿を見ることは出来ない。
一般的にスタンダードな黄色い羽毛のチョコボの他、緑色や青色といった様々な種類のチョコボもいるのだが、なぜかこの部屋には黄色一色のチョコボしかいないことにクラウドは気がついた。
「黄色が好きなの?」
何となくで聞いた質問だったが、ザックスはよくぞ聞いてくれたとでも言うように嬉しそうに笑った。
「何て言ったって、チョコボは黄色だろ。幸せの色イエロー!」
黄色は幸せの色というのがザックスの認識らしい。
「そうなんだ…」
この辺、と言ってザックスは人形の後頭部から首の付け根あたりを指先でつつ、と撫でた。
クラウドは愛玩動物の下顎を撫でるように何度も何度もその場所を往復するザックスの指の動きを視線で追った。
「この辺のラインがたまらねえんだよなぁ」
彼はいつもは凛凛しく男らしいすっと伸びた眉毛をハの字の形に下げて、なにやら嬉しそうにそう語っているが、クラウドにはどこら辺が具体的に「たまらない」んだかさっぱり分からなかった。
その彼の指がチョコボの人形から離れて、不意にクラウドの後頭部に触れた。短く刈り込まれた金色の髪の毛に指を突っ込み、軽くかき混ぜる。
「な、なにするんだよ、ザックス」
「おまえの髪の毛ってチョコボに似てるよなー。色も形も」
実は人にそう言われるのは初めてではなかった。
つんつんと伸びた羽が冠でもかぶっているようなシルエットにも見える特徴的なチョコボの頭。
対してクラウドも長めに伸びたフロントとサイドの髪の毛を毎朝整髪料を使ってがんばってセッティングしていて、そのシルエットは髪の束が上に横にと向かって立っていて、さながらチョコボの頭や尾のようにも見えるのだった。
その髪色もチョコボの羽毛のような明るい金色なので、チョコボみてえと他人に言われてもクラウドには返す言葉がなかった。
決して本人はチョコボを意識しての髪型ではないのだが、今の髪型は気に入っているし、こだわりもあるので、それらのからかいの言葉は曖昧に流していた。
鳥みたいと言われるのはもしかしたら屈辱的なことなのかもしれなかったが、特にチョコボが好きとか嫌いとかいう認識もないので、クラウドは気にしないようにしていた。
けれどこんな風にチョコボの人形やらに囲まれた空間でまじまじと「似てるな」と言われると、なんだか複雑な気持ちになってクラウドの唇は尖ってしまう。
「う…、うるさいな」
「よく言われねぇ?」
「時々言われるけど…ちょっと、やめてよザックス、そんなにされたら髪の毛ぐちゃぐちゃに…」
傍らのザックスの顔を睨み上げようとしたそのとき、クラウドはびっくりして動きを止めた。ザックスの顔が物凄く近い。というかクラウドの髪の毛に彼は鼻を突っ込んでいた。
クラウドは頭の中が真っ白になった。
「…な、なにして…」
ザックスはクラウドの左耳のすぐ横のあたりに鼻をくっつけて…どうやら髪のにおいをかいでいるようだった。
「んー…お前シャンプー何使ってる?」
「何って普通の…安いやつ」
このむやみやたらと近いふたりの距離が、普段から他人とのコミュニケーションが不足しているクラウドを落ち着かない気分にさせた。
髪の毛…なんか変なにおいがしたらどうしようと少しうろたえる。昨夜クラウドはちゃんとシャワーを浴びたし、今日もこれまでそれほど汗をかいていないから嫌なにおいはしないと思うのだが、そんなに間近でにおいを嗅がれると、不安になる。
それににおいをかがれている根本的な理由がまず分からない。
「…似てるからって、俺が鳥くさいって言いたいのか…?」
「え? いや、違う違う」
耳のすぐ横で笑いを含んだザックスの声がする。
声とともに吐き出された彼の温かな息がクラウドの耳の淵をかすめ、特別な意味はないと思うのにクラウドはその感覚にどきりとした。ザックスの手は相変わらずクラウドの髪の毛をかき回している。
「いい匂いだぞ。なんか太陽みたいな?」
太陽…ってどんなにおいなんだろう。干したてのタオルみたいなにおいってことだろうか?
「手触りも意外に柔らかいんだな。チョコボの羽みたいに気持ちいい。お前ホントにチョコボっぽいな」
「……」
チョコボっぽいと言われて、果たして喜ぶ人間がいるのだろうか。
ザックスの思考は全てチョコボにつながっているようだ。彼のチョコボ好きは相当のものらしい。
ザックスと出会ってからこれまで、そう短くはない時間を彼と過ごし、友達付き合いの中でそれなりに彼の人となりを知ったつもりでいたクラウドだったが、彼がこんな趣味を持っていただなんて今までかけらも聞いたことがなかったし、正直言うと意外だった。
けれどザックスが自分で好きで集めたというものであふれかえっているこの部屋の中は、どこにでもいる普通の人間が生む生活感を感じさせ、またなにやらクラウドに親近感を抱かせた。
ソルジャーという仕事が仕事だし、時には血なまぐさいやり取りも辞さない環境に身をおいている彼には、その性格や常日頃の明るい態度を差し引いても、常に先行して硬く冷たいイメージがつきまとってしまうのも仕方がない。けれどこういう、いい意味でイメージを裏切る意外な彼の一面を知ると、なんだかほんわかした気持ちになって、いいなとクラウドは思う。
彼も自分と何ら変わらない人間なんだと、当たり前のことを再認識する。
「前からずっとチョコボ好きだったの…?」
チョコボグッズの数は半端ではない。長い時間をかけてそれらを収拾したのだろうと考えてクラウドはそう聞いた。
チョコボの羽に似ていると感想を言ったクラウドの髪の毛をまだザックスはいじっている。よほど感触が気に入ったのだろうか。
クラウドの問いかけに、ザックスはのんびりとした声で返した。
「いや、つい最近。1ヶ月ぐらい前」
「えええっ、1ヶ月でこれ全部!?」
流石にクラウドも驚いた。目の前にあるフィギュアだけでも優に20個はあった。
「雑貨屋とか玩具屋とかネットとか、暇見つけたらとにかく色んなとこ探し回った。手当たり次第買ってたら、いつの間にかこんなに集まってた」
あっけらかんとザックスは言う。
1ヶ月でこれを全部…ということは、多大な金額が短期間でザックスの懐から出て行ったのではないだろうか。趣味にこれだけの金額をかけられるなんて、クラウドはザックスを少し羨ましく思った。クラウドが少ない自身の給金の中で自由に使える金額はごく少量で、それだって日々慎ましい生活を送る努力をしてこそ生まれるお金だった。一般兵士とエリートソルジャーの違いがこんな形でもあらわれるのか。
(…いや、もし俺にお金があって、チョコボ好きだったとしても、こんな風に手当たり次第フィギュアいっぱい集めたりとかはしないと思うけど…)
いつもふたりで一緒に食事をするときは、大抵ザックスが飲食代を払ってくれる。クラウドはそれを今まで少し申し訳ないと思っていたが、ザックスがこんな風に趣味にお金をかけられる人間だと分かれば、今後もしそういう機会があって「食事おごるよ」と彼が自ら言ってきたときには、遠慮なくおごられておこうと思うクラウドだった。実際、クラウドよりもよく食べ、よく飲むザックスと割り勘しようとすると、いつもクラウドの懐具合に、そう小さくはない打撃を与える金額になってしまうので、おごってもらえるのなら正直助かる。少しぐらい甘えたってバチは当たらないだろう。
「…本当にチョコボ好きなんだな…」
目の前のこのたくさんのフィギュアをザックスはどんな顔をして並べたのだろうかと想像すると、ちょっと笑える。
クラウドは目の前のまるっこくディフォルメされた小型のフィギュアの手を伸ばして、くちばしの上に指を置いた。
クラウドの髪に鼻を埋めている、近すぎる距離の傍らの友人のことは、なぜか余り気にならなくなっていた。彼の好きにさせる。
「…ああ、すっかりホネヌキ」
クラウドの耳元でザックスが笑う。
ザックスはチョコボが好き、クラウドはチョコボに似ていると言われた…と思い返して、ふと、クラウドの頭にある疑問が浮かんだ。その考えはザックスに直接聞いて確認しないではいられないものだった。
クラウドはフィギュアのくちばしの部分をトンと突いてから指を離す。
「……ねえ、ちょっとひとつ聞きたいんだけど」
「…ん、何?」
髪を撫でる彼の手は優しい。
クラウドの眉間には皺がよった。
「…まさかとは思うけど、ザックスが俺と友達になってくれたのって、俺がチョコボに似てるから…?」
クラウドの髪の毛の中に指を入れたまま、ぴたりとザックスの手の動きが止まった。
「あんたの大好きなチョコボに似てるから、俺あんたの友達になれたの…?」
クラウドはゆっくりとザックスの体から離れて、それから彼の顔を見上げた。
ザックスはまあるく目を見開いてなぜか固まっている。
図星…なんだろうか。
どうしてザックスが自分なんかと友達になってくれたのかというのは、クラウドがずっと疑問に思っていたことだった。
取りえのひとつもない、面白味のない自分とどうしてザックスは付き合ってくれるのか。
クラウドにとって、ザックスはやっとできた心を許せる友人だったし、一緒にいると楽しかったから、付き合ってくれのは凄く嬉しかった。けれど何となくおかしいと思っていた。不思議だった。なぜ自分なんかに彼のような人が付き合ってくれるんだろうと。
それはクラウドがザックスの好きなチョコボに似ていたから…?
そういえばザックスと出会ったのはちょうど1ヶ月ぐらい前だった。ザックスがチョコボグッズを集め始めた頃…。
「クラウド…?」
「だ…だったら、俺チョコボっぽくてよかったのかな…」
そのおかげでザックスの友達になれたのなら。そう思うのは自虐的だろうか。
「ち…っ、違うってクラウド!」
俯きそうになっていたクラウドは、ザックスの慌てたような大声にびっくりして顔を上げた。
「お、お前がチョコボに似てるってのは、ちょっと今思いついただけだし…っ、てか俺チョコボ好きだけどっ」
何を興奮しているのか、ザックスは熱弁しつつ手にしたマグカップを振り回し、中味のコーヒーがカップの淵から飛び出し、棚に並べられたフィギュアにかかってしまった。クラウドはそれをばっちり見てしまい、慌てる。
「ザックス、だ、大事なフィギュアにコーヒーかかった…!」
しかしザックスはどうしたことか、お宝コレクションに見向きもしない。
「…そっか、チョコボ…そういうことか…」
クラウドを見てから、天井や床、部屋の中へと忙しなく視線を巡らした後、またクラウドを見る。空いている方の手で自分の額に手を当てたと思ったら、髪の毛をもしゃもしゃになるくらいかきまわしたりして、あーとかうーとか唸っている。
はっきり言ってザックスが挙動不審だった。
「ざ…ザックス…? 何ぶつぶつ言ってるの? 大丈夫…?」
「そうだよな、おかしいと思ったんだよ。なんで突然チョコボが気になったのか…ああ、なるほど、そっかそっか…」
ひとりザックスは頷いている。
クラウドは何がなんだか分からない。
「マジかよ…だってなあ…そりゃあなあ…、でもやっぱ…そういうことなんだよな。俺ニブ…、クラウドは――
だしなぁ、そのせいもあって自覚できなかったのかな。すっげえ間抜け…」
「お…、俺…?」
そこでなぜ自分の名前が出てくるのか、ますますもってザックスの言いたいことがクラウドには分からなくて謎が深まる一方だ。
「うんうん、おし、合点がいった」
「な、何にだよ!?」
置いてけぼりのクラウドが叫びたくなるのも仕方がない。
「いいのいいのこっちの話。クラウドは気にするな」
ザックスはクラウドの肩に手を回し、さりげなくクラウドの体の向きを変えさせ、にこりと笑いかけた。
「とりあえず座ろうか。立ちっぱなしなのもナンだし」
「え…で、でも、コーヒーかかったフィギュアが…っ」
ザックスはクラウドにソファに座るように勧める。フィギュアに目もくれない。
「いいんだ、別に」
「いいって…だって大好きなチョコボの…」
有無を言わせぬ様子のザックスの腕に促されるまま、部屋の中央、ふたりがけのソファの上にちょこんと座るような形で乗っている黄色いふわふわのぬいぐるみを避けて、その隣にクラウドが座ると、ザックスは何を思ったのか、おもむろにそのぬいぐるみをむんずと掴み、後方へと無造作に放り投げた。
「えっ、何するんだよ!?」
クラウドはびっくりして、宙をとんだ飛べない鳥の行方を目で追う。ぬいぐるみはあろうことか、さっきまで見ていたフィギュアの並びの一角に飛び込み、ぶつかった衝撃でそれらはなぎたおされ何体か床に落ちてしまった。驚いたクラウドがマグカップをテーブルの上に置いて、それを拾いに行こうと立ち上がるのを、何かに手首を引っ張られて、引き戻された。
クラウドが自分に視線を戻せば、ザックスがクラウドの手首を掴んで、にっこり笑ってソファに座っている。
「気にしない気にしない。座れよ」
「なんで…っ、好きで集めたものなのにあんな…っ」
「いいんだ。もう興味なくなった」
言われた言葉にクラウドの頭は一瞬ついていけなかった。
「……え?」
「だから、別にもうどうでもいい」
いっそ清清しいほどの笑顔でザックスはそう断言する。
「急に何? だ…だって、さっきまであんなに好きって言って…」
「いやあ、まあ、なんつーか、そのことはもう気にすんな」
「気にするなって…、い、意味分からないよ!?」
「大丈夫、俺には意味分かってるから」
何が大丈夫なのか全然分からなくて、混乱を隠せないままクラウドが腰を下ろしても、ザックスの手はクラウドの手を掴んだままだった。
「ザックス…、あの、手…」
いい加減離して欲しいと隣の友人に目で訴える。
「…ああ、そうだな」
ザックスは少し肩をすくめながら、今気がついたと言わんばかりの様子でクラウドの手を離し…たと思ったら、その手がそのままソファの背の上からクラウドの後ろにまわされた。回された腕にそっと抱き寄せられたクラウドの肩が、ザックスの肩にぶつかり、ふたりの体が密着する。
ザックスに肩を抱き寄せられたのだとクラウドが気づくのに、若干のタイムラグがうまれた。
さっき手を握られたのはクラウドをソファに引きとめるためにしたことだと、ザックスのその行動の理由が分かるのだが、今ソファの上で寄り添うことに対しての理由はクラウドには見出せなかった。
今までになかった近すぎるふたりの距離。
抱き寄せられて不自然に傾いたクラウドの体は、隣のザックスの体にもたれていないと倒れてしまいそうだった。
いよいよクラウドは困惑した。
「な、何…? ザックス、あの…」
その声に、ザックスがクラウドを見て、それから自分の体勢に、あれ?という顔をする。
自分の意識の外で、まるで自分の体が勝手に動いてしまったとでも言うように意外そうに。クラウドの肩から腕を外し、ザックスは首の後ろをかきながらソファに座りなおした。
「あー…、わりぃわりぃ。クセみたいなもんで、つい」
「……」
いつも彼女とこうして並んで座ると、肩を抱いているということだろうか。
それにしても、好きだと言っていたものを急に興味がなくなったと言ったり、今みたいに友人の自分を彼女と間違えたり…今日のザックスは本当におかしい。
「…本当にチョコボ、興味なくなったの…?」
傍らのザックスに念のためにもう一度聞いてみる。
チョコボに似ているとクラウドに言ったことが、クラウドの機嫌を損ねたのではないかと気を遣ったザックスが、あえてそう言ったのではないかという考えが浮かんだのだ。
「ああ」
しかし、そう答えるザックスの顔に迷いや躊躇いなどの不自然さはなかった。
まだ納得のいかないクラウドは首を傾げながら続ける。
「…グラスランドエリアにチョコボの牧場があるの知ってる?」
「知ってる。チョコボファームだろ、今度暇できたら行ってみようかなって思ってた」
「でももう行きたくなくなった…?」
ザックスはカップを口許に運びながら、意味ありげに笑った。
「そうだなあ、クラウドが一緒に行ってくれるなら行きたいかも」
「? 俺? なんで?」
「お前とチョコボの組み合わせは見てみたいかも。お前がチョコボに乗ったら、チョコボ・オン・チョコボじゃね?」
チョコボがチョコボに乗っているのは見物だ、と言いたいらしい。
「ザックス…!」
「いやいやいや、そうだな、ホント、マジでチョコボに乗りてえかも。行ったら乗らしてくれるかな」
「笑うなよ! 興味ないって言ってても乗りたいのかよ。あんた今日本当におかしいよ。言ってることがめちゃくちゃだ。ああもう、あんたなんかチョコボの背から振り落とされればいい!」
「ははは。じゃあ振り落とされないように十分注意するか」
頬をかわいらしくふくらませているクラウドの髪をわしゃわしゃとかきまわしながら、ザックスはひとしきり笑った後、ぽつりと呟いた。傍らのクラウドを見つめながら。
「マジで乗りてぇなぁ」
→back
|
 |
|