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 ありがとう、そしてこれからもよろしく。おまけ





「………ちょ、ザックス、いい加減…っ」
「…気持ちイ……」
「…、も、焦らすなよ、おかしくなる…っ」
「…お前、めちゃくちゃヤラシイって。腰さっきから、ずっと揺れてんの、俺に当たってる…」
「だって、触って…、触りたい…っ」
「俺さぁ…さっきの話、あんま自分で意識したことなかったけど、マジでお前としてるといじめたくなって…サドっぽいなぁ」
「…あ、あ、そこ、ヤ、だめ…っ」
「だ、いじょぶ、お前、このまま中だけでイけるって…ほら」
「ん、だめ、や、触っ…、や、…や…っ」
「…っ、やべ、もってかれそ…っ」
「ひど…、な、んで…っ」
「…ん? クラウドは、俺のだし…」
「な、何それ…、意味わかんな…、あっ」
「俺もお前のモン、だよな?」
「…やだ、それやめて…っ、あっ、ああ…っっ」
「…クラウドっ」
「あ……っ、…………っっ!!!」
「、…………っ」










 幾度抱き合ったのか。
 途中からは数えるのも馬鹿らしくなってやめた。
 散々身体を絡め合い情を刻み合って、ふと気付けば窓の外も白み始めるそんな時間になっていた。

「……あんた、手加減てもんを知らないのかよ…」
 ベッドの上、恋人の胸に後ろから抱き締められながらクラウドは気だるげに溜息をついた。
「こういう日って、特別だろ…?」
 クラウドの耳元に顔をくっつけてザックスは抱き締める腕に力をこめる。
「愛してる、クラウド」
 長い時間愛撫され敏感になったクラウドの身体のあちこちが、何の飾り気もない愛の言葉に歓喜して波打つ。
「へへ…、今お前ん中動いた。まだ欲しい…?」
「ばっ、馬鹿、違う…っ! ていうかあんたいつまで入れてんだよ、早く抜け…!」
 言葉をつむぐたびに、自分の内部が体内に沈んだままの彼を意識してきゅうきゅう締め付けるのが分かって、クラウドは羞恥のために乱暴な言葉を背後に投げつけた。
「ん…名残惜しいなあ…」
 ザックスがゆるく腰を前後に動かした。繋がりあった場所に隙間ができて、彼の放った熱がそこから零れシーツに流れ落ちる。その生々しい感覚にクラウドの肌はあわ立った。
「や…も、んなふうに動くなって…っ」
「こうやってるときってさ…全部お前は俺のモンで、俺はお前のモンだよなって思う。誰よりも近い場所にいるって…。ずっとこうしてられたらいいのにな…」
「……俺のモンとか何とか、さっきも言ってたけど…ザックス?」
「抜いたらさ…」
「…っ」
 名残惜しいと言っていた割に、あっさりとザックスは身体を引いた。
 間を置かずにクラウドの肩を押すと仰向けに転がし、彼の両足を掴むと大きく左右に開いた。
 今まで二人が繋がっていた場所がザックスの眼前に晒される。驚いたクラウドは顔を真っ赤にしてもがいた。
「なっ、何するんだよ、ザックス!?」
 ザックスが顔を寄せてじっとそこを見つめているのに、どうしようもない羞恥がこみ上げる。
 実際自分ではその場所を見たこともないから、彼を受け入れる前も受け入れた後も、そこがどんな風になっているのかは分からなくて、その場所を見られているという得体の知れない不安感が尚更クラウドを居たたまれない気分にさせる。
「…ほら、抜いたらすぐ閉じてさ」
 白くぬめったものをザックスは指でなぞった。その感触に、ひくりと自分のそこが反応してしまったのが分かってクラウドは泣きそうになった。またとろりと内股を伝い落ちる。
「俺の、追い出そうとするみたいに中から出てくるよ。それが何だか寂しい。お前の身体中の穴全部塞いでさ、お前ん中俺で満たしたら、全部俺と同じで俺のモンになって、そしたらこんな思いしなくて済むのかな…?」
 どうでもいいから早くそこから視線を外してくれとクラウドは思うのだが、ザックスはじっと観察するような目つきをしていて動かない。
「…い、言ってる意味が分かんないよ。あんたさっきからなんか変だ。何ナーバスになってるんだよ?」
 足を解放してもらえそうにないと踏んだクラウドは、両脇についた肘で上半身を支えて半分程起こし、苦しい体勢で自分の股間の向こうで俯くザックスの顔を窺おうとした。しかし眉間にかかった彼の黒い前髪が邪魔をして表情はよく分からなかった。
「ザックス…?」
「………分かってんだけどさ…」
 俯けたザックスの額がクラウドの内腿にぺたりとくっついた。
「…仕方ないんだけど……」
 暗く沈んだ声と溜息が聞こえる。
 クラウドは本当に訳が分からなかったが(しかもこんな格好でこんなシチュエーションで、なんで突然シリアスモード?)恋人が何やら落ち込んでいることだけは分かったので、とりあえず彼の髪の毛に手を伸ばした。
 ぽんぽんとあやすように頭を撫でる。
 ザックスが時々拗ねたり甘えたそうにしているときに、よくこうしてクラウドは彼の頭を撫でてやるのだった。
 指に絡んだ黒髪は汗にまみれて微かに濡れていた。
「何が仕方ないんだよ、ザックス」
「……昨夜の俺さぁ……」
「昨夜?」
「…つまり…疎外感て言うのかな…」
 昨夜、クラウドの誕生日を皆で祝ったときのことを言いたいのだろうか。でも疎外感とはどういう意味だろう。
 しかしザックスはそれきり口を閉ざしてしまった。クラウドが撫でるままに頭を預けてじっとしている。
「…楽しくなかった? …まあ確かにうるさかったけど…」
「…いや、楽しかったよ。俺お祭り系大好きだし…」
「…じゃあ」
「だって…俺だけ仲間はずれじゃん」
「……?」
 仲間はずれ?
「あの人たち、みんな一緒に戦った仲間なんだろ…でも俺違うし」
「え…」
「…そういうのって目に見えないけど絆みたいなモンが確実にできるんだよな…、そん中に部外者の俺は入っていけないんだ。言ってもどうにもならないけど、俺も一緒に戦いたかったな…。俺の知らないクラウドがいるってことが凄く凄く悔しい…」
「………」
 ぎし、とベッドが軋んだ。身体を起こしたクラウドが、うな垂れているザックスに手を伸ばす。
 ザックスの手は既にクラウドの足に添えてあっただけだったから容易に体勢を変えることが出来た。
 クラウドは男らしいラインを描く彼の頬を両手で包むと上に引っぱり上げ、顔を寄せた。
「………ばか」
 優しく、優しく彼の鼻筋に、頬の上、瞼にキスをする。
 ザックスはされるがまま、おとなしくクラウドの慰めを受け止めた。
「…俺はあんたがいない間だって、いつもあんたと一緒にいるつもりだったよ。どんなときだっていつも…あんたに託された剣、託された想いを胸に、いつもいつも一緒だった。一番近い…俺の中で誰よりも身近な、支えになる大切な人だった」
「…クラウド」
「俺は今こうしてあんたといるだろ? 他の誰でもない、あんただけを選んで、一緒にいる。あんただけだよ、こんなに俺の中の何もかもを見せて許してるのなんて、他に誰もいない。こんなに深くを許してるのはあんただけだ」
「気持ちを疑ってるわけじゃない。俺のわがままで…お前を独り占めしたいだけ…」
 ザックスが犬のように鼻先をクラウドのそれにすり付けた。クラウドの後頭部を引き寄せキスをせがむ。
 ザックスの言い様が子供のような拗ねた口調だったので、クラウドは思わず苦笑してしまった。
「これは独り占めしてるって言わないのか…?」
「お前が話しかけるのも笑うのも見つめるのも怒るのだって、みんなみんな俺だけならいいのに。お前の周りからみんないなくなって、俺だけが残って、お前の世界が俺だけになればいいのに」
「…時々思うんだけど、ザックスってロマンティストだよな。お前がいれば他には何もいらない、みたいなこと言う。俺だってザックスだけがいてくれればって思わなくもないけど、あんたのは…ってちょっと、ザックス」
 ザックスに押されるまま、再びクラウドはシーツの上に倒された。上からのしかかられるようにして、噛み付くようなキスを送られる。ふさがれて息を奪われて、クラウドは苦しさに身をよじった。
「……ん…っ、ザック、ス…っ」
「俺にはお前しかいないのに、お前は違う。周りにいっぱいいる」
「あんたにだって、いるだろ。むしろ俺よりも友達多いんじゃ…」
「俺にはお前だけだ。友達の話はしてない」
「…じゃあ尚更、俺にだってザックスだけだよ。俺に、こんなことしてるのはあんただけだ。あんたのその嫉妬はちょっと焦点がずれてる…」
「知ってるよ、分かってる。でもお前の周りにいるヤツ全員に嫉妬しちまうんだ、仕方ないだろ」
「俺にどうしろって言うんだよ」
「…………じゃあ、一週間ぐらいずっとどこにも出ないで俺とこうしてて」
「…一週間は無理だろ」
 実質的に無理だ。互いに仕事もある。
「じゃあせめて丸一日」
 本当に子供か、とクラウドは目の前の唇に笑いながら触れて彼の身体を抱き締め返した。
「…おかしいの。今日のあんた、すごく甘えたがり…」
「………」
 しがみついてくる腕は、本当に子供のような必死さだ。
 しかし自分の中の何かが彼の心を不安定にさせている原因を作り出しているのだろうと思うと、クラウドは笑ってばかりもいられない。彼のその不安を取り除いたり和らげたりすることができるのもまた、自分だけだと分かっているから、そのために必要な言葉も行為も惜しむつもりはない。
 クラウドは自ら足を開き、ザックスの足に巻きつけると、甘えるように彼の腰を自分に引き寄せた。性的なニュアンスを滲ませて彼の引き締まった臀部を両手で撫で上げる。
「……いいよ。分かった」
 目の前の汗の浮いた首筋に歯を立てて噛み付く。
「…クラウド?」
「…今から俺を独り占めしたいだけしていい。気がすむまでしなよ。それであんたが安心するなら」
「……いいのか?」
 頼りない声で聞いてくる。
 本当に今日のあんたはどうかしている、と思ったがクラウドは口には出さなかった。いつもは弱さを見せるのは自分で、ザックスがそんな自分を受け止めて包んでくれるのに、今日は丸きり反対の立場だ。でも悪い気はしない。
「いいよ。その間は俺もあんたを独り占めできるってことだよな。あんたの何もかも全部」
「……お前、機嫌いい…?」
 顔を上げたザックスがクラウドの表情を覗いて片眉をしかめた。
「いつもならそんなこと絶対言わねぇのに」
「…ん、誕生日だったからかな」
「嘘つけ」
 その切り返しにクラウドは小さく笑った。
「…何でもいいよ、俺からのプレゼント。ありがとう、ってお返し」
 自分の誕生日をまた今年も迎えられたこと、皆が笑ってこうして集まれたこと、ここにザックスがいてくれたことに、ありがとうと感謝をしたい。
「…お返しって意味分かんねぇ。プレゼント贈るなら俺のほうだろ。…いいのか? んなにこすり付けられると俺だって…」
 クラウドは彼のものと自分のものがぶつかるように腰を揺らしていた。
「…したくてしてる……」
「おま…っ、今日はもう寝かせてやろうって思ってたのにっ」
 いつにないクラウドの言葉に、ザックスは目を見開いて心底驚いた様子だった。
 でも腰に当たる彼の熱が分かりやすくその一言に反応して、クラウドはそれが無性に嬉しかった。
 さっきまではあんなに疲れて睡魔にまで支配されそうだった身体が、彼の熱に引っぱられて再びざわめきだす。
「……だから、優しく、して…?」
 クラウドが綺麗に微笑むと、ザックスの頬に朱がさした。
 息を呑む音は実際には聞こえなかったが、とがった喉仏が目に見えて上下する。
 その動きに目を奪われていると、彼の唇が乱暴に降って来て、深く深くふさがれた。

 大切な、愛する人に求められること。
 この胸を満たす幸せな気持ちを、クラウドはザックスに教えてもらった。
 与えられるばかりじゃなくて、自分も彼に何か与えることができたらいい。

「クラウド」

 愛しい人の喉の奥から紡ぎだされる自分の名前が、なぜだかとても愛おしく聞こえる。

「ザックス…ザックス、好き」

 気がすむまで好きにしていいよ、というクラウドの言葉にも、きっとザックスはどんなに落ち込んでいたって、らしくなくたって、最終的にはクラウドのことを気遣ってくれるのだろう。
 それが自分が好きな、大好きなザックスなんだとクラウドは思う。
 だから、たまには自分が甘やかしてあげてもいい。
 たまには素直になって、甘えて見せるのもいい。


 圧し掛かられその重みを全身で感じて、クラウドは幸福に満たされて目を閉じた。










***










「うまくいってるっぽかったな、あいつら。何か色々あったけど落ち着くところに落ち着いたって感じか」
「そうそう、んであの二人色々充実してるっぽかったよね~」
「…下世話だ」
「ええ、下世話って、深読みしすぎだよ」
「……オイラ、フラフラしてなんだか楽し……」
「そのまま寝とけ、いい夢見れるぞ」
「やっぱそこらへん充実してると肌ツヤがいいんだぞ、と」
「そうそう、クラウドきらきらつやつやだったよね!ってアンタ一体いつ見たの?!言い方いやらしい!」
「今日は店はおやすみなのー。外の看板見たでしょ? 何混ざって飲んでるの、あなたたちー」
「………」
「もう飲むのそこらでやめとけよ、身体ぐらぐらしてるぜ、ティファ」
「今頃あの二人はー!とか思うと、リアルに想像出来ちゃって、これが飲まずにいられるかーなのよ、分かる私のこの気持ち??」
「えー、リアルに想像しちゃうの? やだティファ大人!」
「大人だろ」
「年の話はしないでー」
「してねえだろ」
「お前飲むと雰囲気変わるな」
「………いや、うつくしい……」
「悔しい…!料理でなんか負けた感じがして、悔しいのよ…!それだけはって思ったのに!」
「あれだけできりゃあ出る幕ねえよな。つうかまだ思い切れてねえのかよ。俺様もそこまで誰かに想われてえなぁ」
「この間結婚したばかりの人が何を言うか」
「こぼれてる! ほらもうやめとけ!」
「あ~、もういいな、いいなー、私も誰かと幸せになりたいよー」
「俺の相棒が立候補したそうなんだけどな、と」
「……っ!!」
「え~、立候補って何? あ、…駄目、私寝ちゃいそ…」
「一名様ご案内ー」
「酒、酒まだあるかー?」
「………また無視された……」
「がっかりすんな相棒。また明日があるぞ、と」
「ところで、あの二人……」
「えー、そうだった!?」
「だから下世話な話は……」










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